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モロッコの金メダル

作詞家・作家の阿久悠さんが1日、尿管がんのため70歳で死去した。歌謡史に多くの名曲を送り出した先生は、甲子園でも一日一編の詩を書いてスポニチに連載された。
1984年、新潟南高が甲子園初出場で新潟県初のベスト8 進出となった時、ロス五輪でモロッコという小さな国が初めて金メダルを獲得した事に感動し、新潟南の勝利と重ねあわせたすばらしい詩がこの「想いは熱き甲子園」という本で紹介されている。

「モロッコの金メダル」     阿久悠
粘り強く あくまでも粘り強く 耐えて 耐えて 耐えぬき 
そして いつか活路を見出す
1点ぐらいと思えば5点になる
もう駄目かと思えば全てが崩れる
一勝したら十分だと甘えたら相手の蹂躙にまかせ恥をかく
精神の揺らぎをぎりぎりで保ち念力で いや 恐るべき粘力で 
危機を切り抜けつづけた新潟南高校――――
それは あたかも野球の一回の危機など日本海の風雪に比べたら
何のことはないといわんばかりに黙々と しかし 烈々と 投げ 守った
危機は何度あったか 毎回が危機でありながら 崖っぷちで力を発揮する
冷静さも 闘争心も その時になって底力を見せる
決して諦めないこと これですよといわんばかりに 決して諦めないこと
普通のことですよといわんばかりに

エースが耐えて 投げぬき 代打の主将が追撃の火をつけ 超美技のレフトが
そのラッキーを攻撃に持ち込み あの巨大な まことに華やかな
エースの一発を誘い出した
どうやら モロッコの金メダルはきみたちであるらしい

モロッコの金メダル_b0076646_20304877.jpg

Canon PowerShotG7  7.4-44.4mm F5.6 1/30秒
ISO400 
撮影日2007.8.3 撮影地 自宅スタジオ

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■この本の著者は元新潟南高野球部監督の関川弘夫氏である。
阿久悠さんの詩のお礼に、関川監督は甲子園の土を容器に入れてプレゼントした。その後、「夏の甲子園は現代人が忘れてしまった”なれるかもしれない”というエネルギーが残されている。新潟南高校にはその夢を感じたのです。詩は見えない誰かとのキャッチボールだと思っています。甲子園の土は胸もとにかえされて来た好球でした。虚空へとび散ったボールでなかったことをうれしく思っているところです。」と阿久悠さんからの手紙にこう書かれていたとある。久しぶりにこの本を読んで、また泣いてしまった。
関川監督の甲子園に懸けた情熱、選手達の努力、親子の絆、たくさんの人達とのふれあいが見事なまでにまとめられた最高の一冊である。
是非読んでいただきたい。
by chonger48 | 2007-08-03 22:01 | スポーツ
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